ひとたび遠島の地に足を踏み入れば、思いもよらない出逢いが待っている━━。
たとえば、2024年7月1日にオープンから3周年を迎えたEntôでは、7月6・7日に記念イベントを開催。強風にもかかわらず町内外から多くの人が集う場に。8月には海士町のある中ノ島の5つの地区で祭りがおこなわれ、神輿を担ぐEntôスタッフの姿も。
日本海にぽつんと浮かぶ、隠岐諸島。そのひとつである中ノ島・海士町での四季折々の暮らしの中で出逢う「お気に入り」を記したコラム企画 【海士のお気に入り】。
今回はEntô Diningを担当する筆者・藤原夏実が愛する〈島景色〉をお届けします。
― Text/Photo ―
藤原夏実
東京都出身。2年間システムエンジニアとして働いた後、海士町が展開する、複数の仕事から地域の魅力を高め、複業による多種多様で新たな働き方づくりに取り組む海士町複業協同組合に就職。島らしい複業「AMU WORK」では、水産加工業、森林組合での勤務を経験。その後、2023年6月より株式会社海士に入社。野球観戦、旅行、食べること、寝ることが好き。海士町ではブラスバンドにも所属し、最近は発表に向けて練習に励んでいる。
気持ちも穏やかにしてくれる海を一望
ここは隠岐諸島のひとつである中ノ島、つまり海士町の北分(きたぶ)地区にある北分大橋。
海士町で一番大きな橋で、湾に架かっているため右を見ても左を見ても海が見える。
特に日没前は絶景だ。
仕事帰りにちょっと寄り道したくなったときや、リフレッシュしたいときによく立ち寄る。
普段は仕事柄、人と関わっているので、ここは私にとって一人になれる場所。橋から見える海は湾になっていて、美しい水面を一面に見渡せる。
穏やかな海は、私の気持ちも穏やかにしてくれる。悩みや不安もどこかへ飛んでいってしまうような、そんな景色だ。
図書館の窓際に座り、田園風景を眺めながら
わたしの職場であるEntôから海士町中央図書館までは、車で約6分ほど。海士町の図書館は、島全体が図書館というコンセプトで島中に分館があるが、とてもコンパクト。
しかし、コンパクトだからこそ、厳選された一冊一冊が目に飛び込んでくる。読んだことのないジャンルの本にも手が伸びやすい。「足るを知る」という言葉がぴったりの図書館なのだ。
海士町中央図書館の窓からは、本を読みながら田んぼを見渡すことができる。図書館と田んぼの組み合わせは海士町らしい風景で、私は好きだ。
机と椅子が並ぶ窓際に座って本を読んだり、作業をしたりするのが、私のお気に入り。
防波堤の上で、波の音を聞きながら
もっとも島らしい過ごし方のひとつは、防波堤でくつろぐこと。
防波堤の上で、近くに住む同僚と秋の風が吹く中でおしゃべりしたり、お酒を飲んだり、仕事が終わって一人でのんびりしたり。
海を眺め、波の音を聞きながら過ごすひと時は、これぞ島ライフ!と言っても過言ではない。
夜に寝転がると、天然のプラネタリウムに包まれる。
海士町に移り住み、生まれて初めて夏の大三角形を観た。たくさんの流れ星も。今は北斗七星も見つけられる。
島で過ごす夜に見上げれば、たくさんの星があることを実感させてくれ、星を身近に感じられるだろう。